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世界の派遣から
 
第4回:ウルミラ・ダテさん(プネ)

2005年に結婚したばかりの27歳。マハーラシュトラ州出身、プネ大学でコンピュータ科学工学士修了。英語、ヒンディ語(インド公用語)、マラティ(マハーラシュトラ州言語)語を話す。2005年より日本からの取引が80%を占めるIT会社にて、Webアプリケーション開発やモバイルコマース開発等のソフトウェア・プロジェクトリーダーとして勤務。スタッフの平均年齢が25歳と若いこの会社では中堅スタッフとして、とくに日本の商習慣を意識した品質管理や納品管理を提案したり、日本の取引先とチームメンバーとのパイプ役として活躍。

現在は、日本語も学習中。派遣(契約)社員としてのキャリアは「幅広い技術力と経験を身に付けるための当然の選択肢」である。

ウルミラ・ダテさん
 
  インドでも雇用形態のひとつとして認識されている、派遣・契約社員
 
 

依然勢いを保ったまま成長を続ける、インドのIT産業で活躍するソフトウェアエンジニアは、その他の産業と一線を画する高給職種であり、競争が非常に激しく、賃金は年々上昇しています。ひとくちにソフトウェアエンジニアと言っても、携帯電話テクノロジー、eコマース、ソフトウェア開発、半導体、組み込みシステムなど専門領域は多岐にわたり、各企業により主要業務の内容はまちまちです。

そのためインドでは、ひとつの会社に継続して勤務するよりも、「契約(Contract Base)社員として分野ごとに異なる強みを持つ企業でプロジェクトベースの経験を積み、幅広い技術力を身に付けながらステップアップする」という働き方を望ましいとする傾向が見られます。企業側も、賃金の上昇にともなって右肩上がりの離職率に頭を悩ませており、「いつ辞めるか分からない」人材を多く抱えるよりも、期間契約やプロジェクト契約で確保できる優秀な人材を、必要に応じて雇用するケースが増えてきました。

インドこうした両者のニーズに応えるための派遣会社(Placement Agency)も当然あります。仕事が決まったら一定率の給与を派遣会社に差し引かれる代わりに、自分にあった就職先が見つかるまでは、ある程度の賃金が保証されるというシステムになっており、求職者には優しい環境と言えるかもしれません。海外に暮らすいわゆるNRI(非居住インド人)と呼ばれる人々にも、帰国後の就職先を紹介するなど、とくにWebサイトでコンサルティングを行っている派遣会社は広く利用されていますね。

   
 
  座っているだけでは無職と同じ。経験を積んでこそ、次につながります
 
 

エンジニア職は、履歴書の職歴欄に今までこなしてきたプロジェクトの数や内容を詳細に記すため、会社に所属しているにも関わらず従事するプロジェクトのない状態、いわゆる「ベンチ」期間が長くなることが、無職と同じぐらい嫌われる傾向にあります。

自分の技術力を活かせない会社に不必要に留まって時間を無駄にするより、バラエティーに富んだプロジェクトの経験をしっかり積んで技術力を磨き、結果としてさらによい機会に恵まれるという好循環となるように、プロジェクトベースの契約社員という勤務形態が積極的に選択されているのだと思います。

   
日本のお客様が毎月のように訪問されるため、日本人と話す機会も多く、日本のITマーケットや商習慣などを肌で感じることができます。
  日本語教育のさかんなプネで、日本相手のビジネスに従事
 
  インド国内にあるソフトウェア企業の大部分は、海外向けのオフショア開発(ソフトウェアやシステム開発を賃金の比較的安いインドで行い、コストを抑える外注)業務ですが、その8割ほどはアメリカと欧州向けであり、日本との取引はわずか4%にも満たないと言われています。

プネはインドの中でももっとも日本語教育のさかんな都市。今後日本市場を視野に入れたキャリア開拓は必須になってくるだろうと確信していたところ、人材派遣会社から日本との取引が中心の今の会社を紹介され、ここで経験を積むことに魅力を感じました。日本のお客様が毎月のように訪問されるため、日本人と直接話す機会も多く、日本のITマーケットや商習慣などを肌で感じることができます。
   
  大家族に支えられているから、仕事と家事の両立も楽勝です
 
  インド

日本向けのプロジェクトは、納期と品質が完璧に近いレベルで要求されるだけでなく、変更の多いお客様のご要望に常に柔軟に対応しなければならないため、夜中の1時、2時までオフィスに残って作業することも珍しくありません。エンジニアにとって納期間近の残業は当たり前。そういった背景もあり、なるべく自宅近くにオフィスのある会社を選びました。

オフィスでは仕事のことだけを考えていますが、反対にオフの時には、仕事のことを全く忘れ、めいっぱい家族のために時間を割くことにしています。家族との会話に勝るリラックス法はありませんし、肉親との絆がインドで働く女性にとってのパワーの原動力とも言えます。

何世代もの家族がひとつ屋根の下で暮らす大家族制度が主流のインドでは、夫の両親はじめ、同居する年配のファミリーメンバーが、働く妻をしっかり支えてくれるので、安心して仕事に集中でき、家事との両立にそれほど苦労はありません。逆に、両親と別居している核家族世帯が主流の日本では、どうやって働く女性が家事や育児と仕事を同時にこなしているのか、たいへん気になっています。

契約社員として幅広い経験を積み、人脈を積極的に開拓しようと試みる女性の中には、将来起業を目指し、非常に高い意識を持って会社全体の流れを意欲的に学ぼうという人も少なくありません。2005年の統計ではインド全体に占める女性社長の割合はわずか6%となっていますが、「契約社員出身の女性」がインド経済を動かす日も近いかもしれません。
   
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