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世界の派遣から
 
第3回:ジューシー・コスタンツォさん (ローマ)

シチリア州出身の34歳。1984年にローマで現在のご主人と知り合い結婚へ。高校のころから父親の経営するチェーンスーパーの広告・マーケティングを手伝い、大学はローマのカトリック大学で経済学を専攻。現在は妻であり、かわいい4姉妹の母であるとともに、派遣社員としてマーケティング・貿易業に携わる。

仕事上、母国語であるイタリア語のほか、英語とドイツ語を使用。日本語も習得中である。フランチャイジング経営や貿易会社設立にも興味があり、数年のうちに自分の力で会社を興したいと積極的に語る。

ジューシー・コスタンツォさん
 
  イタリアでは、「財産形態」が働き方の決め手になることも
 
  イタリアでいう『正社員』は、フルタイムでの労働を指します。法的に認められなければ、解雇も実行されません。そういった意味では『派遣・契約社員』というのはリスクが大きいように見られますが、契約期間内に解雇するには同じく法的な理由が必要で、いつ仕事が途切れるか…といった不安はあまりありません。ただ、毎年契約を自動更新していたつもりが、知らない間に期限が切れていて解雇されたなどという例もあって、注意が必要です。

ここイタリアでは、『派遣社員』という意味の言葉はなく、派遣会社から派遣されて働く人のことを『派遣者』といったニュアンスで呼んでいます。また、『契約社員』は『正社員』よりも需要が多いのが、日本との大きな違いですね。

『正社員』の手取りは非常に少ないため(43%が税金)、近年は自ら『派遣・契約』を選ぶ人も少しずつですが増えてきました。年金などの保証がある『正社員』という働き方は、やはり貴重なポストには違いありません。しかし、土地や家の値段が年月とともに上昇するイタリアでは、それ以上に固有財産を所持することが注目されており、保証よりも固有財産取得のための資金を稼ごうと考える人も多いですね。それぞれの財産形態に対する価値観が、雇用形態を決める際のひとつの手がかりにもなっています。
   
 
  家庭ある女性が、仕事を持つことのメリットとは
 
  最近でこそ女性が働くことも見直されてきましたが、ローマから南部にかけては未だに「女性は家庭を守る」などといった保守的な考えが根付いています。またイタリアの学校ではストライキが頻繁にあり、祭日が重なるとすぐに連休になってしまうため、子どもを持つ女性が『正社員』として働くことは、非常に難しいですね。また学校の送り迎えは必ず親が行い、子どもを1人で通学させるということがないので、昼の休憩時間に子どもたちを迎えに行かなければなりません。家庭に仕事にと、フレキシブルに行動するためにも、私には『派遣』という働き方が合っていると思います。

女性にとって、仕事を持つということは「家庭が安泰するちょっとした秘訣」になると私は思っています。体力的には決して楽ではありませんが、仕事は家庭の潤滑油、私にとってのエネルギー源になっているんです。イタリア南部の男性にしては珍しく、主人も私が仕事を始めてからの方が理解も深くなり、よい関係になったような気がします。きっと、私自身にすべての面で余裕が生まれたからじゃないでしょうか。

4人も子どもがいるので、私が働くことは経済的にも大切なことなのですが、何より「精神の余裕を得た」という事実が一番大きいと思います。仕事を持つ母親を子どもに見せることも、知らず知らず「価値観」によい影響をもたらしているようです。忙しい毎日の愛情表現は、接触時間でなく心からの抱擁。仕事に行く前、帰った後必ず1人1人への抱擁を欠かさないようにしています。

   
女性にとって、仕事を持つということは「家庭が安泰するちょっとした秘訣」
  仕事と家庭を両立する、私のハードな1日
 
  6:00 起床。洗濯・アイロンがけ・昼食の下準備を、朝のうちに一気に済ませます。
7:00 子どもたち、主人が起床。家族で朝食をとります。
7:45〜8:10 4人の子どもたちを、主人と手分けしてそれぞれ学校へ送り込みます。
8:30 仕事へ。
12:30 休憩時間中に子どもたちを迎えに行き、自宅で昼ごはんを食べさせます。
13:30 午後出勤。
16:30〜17:00 退社。

毎日のことなのでもう慣れてしまっていますが、日本の学校のように給食が出たり、中学校も午後まで授業があると聞くと、ちょっぴりうらやましい気もしますね。ただ、「食卓は家族で囲むもの」という価値観は、やはり大切な私たちイタリア人の習慣だと思います。
   
  派遣でスキルを磨きながら、出産・子育て。近い将来は会社を持ちたいですね
 
  イタリア『派遣』の仕事を始めてから6年ほどになりますが、その間に2人の娘を出産しました。出産休暇は取れなかったのですが、上手に勤務時間を選び無事両立することができました。出産の時期に職種を変えることもありましたが、その経験がかえって自分のスキルアップにつながり、幅のある現在の仕事につながっています。スキルがあればあるだけ新しい職も見つかりやすく、また企業側もそういった人材を求める傾向にありますね。

私の場合、はじめての『派遣』は広告・マーケティングでしたが、英語とドイツ語の需要から国際マーケティング、そして貿易業と新しい分野のスキル取得も経験できました。また『派遣』でのスキル・経験は、『正社員』のそれと同様の価値があります。

学歴や年齢よりも、まず「スキル・経験重視」のイタリアでは、自分のスキルアップにあえて『派遣』を選ぶというケースもあります。といっても、EU圏のなかで最も失業率の高いイタリアですから雇用形態を思案する前に、『職に就く』ということが一番という現状も否めません。そして何より人脈。信頼関係から生まれる人脈は、日本でもそうでしょうけれど、こちらでもとても大切です。近い将来、貿易業で得た流通のスキル、ルート、そして培った人脈などを活かして、自分で会社を持てるよう頑張っています。

   
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