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世界の派遣から

第1回:エイドリアナ・タッシュさん (カナダ)

トロント近郊バーリントン市生まれ。父親の仕事都合により、カレッジ時代を含む8年間をアイルランドで過ごし、20歳でトロントに戻る。パートタイムで働いたのち、派遣登録してお仕事中。1年半前からは、大手銀行のビルが立ち並ぶ「トロントの大手町」とでもいうべきエリアにある金融関係の会社にて、レセプショニストとして週25時間の業務についている。

将来の希望は、グラフィック・デザイナーとしてマーケティング分野で活躍すること。「今はまだ何も準備できていないのですが…将来は日本にも住んでみたいです。歴史ある古い国なのに、アニメもハイテクも新しいものは何でも日本から来るので、すごく興味があるんです」と、人当たりの良い笑顔で語る好奇心旺盛でしっかり者の23歳。

エイドリアナ・タッシュさん
 
  カナダの雇用形態は日本より複雑。「派遣」もちょっと違います
 
 

自分の能力を向上させ、キャリアを積むために、また自分で稼働時間をコントロールするために「派遣」という雇用形態を選ぶことは、日本と同様カナダでも普通の選択肢です。ただし、「派遣」という法的に裏付けのある言葉はカナダになく、一般的に派遣会社(employment agency)に登録して働くことを「派遣」と表現しています。

日本でいうところの正社員は、「パーマネント(永続的)でフルタイム(常勤)のポジション」です。ほかにも、永続的な契約で短時間労働をしている人もいれば、常勤でも永続的契約ではない人もいて、雇用形態は実にさまざま。複雑に思われるかもしれませんね。
カナダでは自分のスキルを活かし、伸ばしていくために職場や雇用形態を変えることはポジティブなものと考えられており、若いころから正社員しか経験がないという人は稀です。そのため、職を変えることについての社会的な「目」は厳しくありません。
ただし、カナダの失業率は7%前後と日本よりも一貫して高く、仕事選びは誰にとっても重大な問題なのです。

   
 
  日本と違って「未経験募集」はまずありません。スキルと経験が勝負です
 
 

こうした雇用環境のなかで派遣会社に登録して働くことのメリットは、何といっても「スキルを磨き、経験を獲得できること」です。
カナダでは特殊な技能でも持ち合わせていない限り、どんな職種においても未経験を募集することはまずありません。そして性別はもちろん、年齢を問うケースもほとんどありません。募集要項には、求めるスキルやあれば望ましいスキル・経験などが細かく明記されていて、該当しなければ履歴書を提出する機会も減ってしまうんですね。ようやく面接にこぎ着けても、試験合格や資格取得だけでなく「実際それを使った・経験した」という実績が重視されます。ですから、ことに若いうちは職場を変えるか否かより、さまざまな経験を積んでおくことがとても大事なのです。

   
派遣会社に登録して働くことのメリットは「スキルを磨き、経験を獲得できること」
  現場に身を置き、その業界の「ビジネス・スタンダード」を幅広く吸収
 
 

私は現在、レセプショニストとして働いています。「受付・案内」と訳されることも多いですが、欧米ではほとんどの場合文書のタイピングや書類の整理も含んだ、オフィスでの代表的な事務系職種の一つです。実は私がカレッジ時代に専攻していたのは、グラフィック・デザイン。なぜレセプショニストにキャリアを変えたのか、不思議に思われるかもしれませんね。将来的には、アート系というよりマーケティング分野においてビジネスで使う書類・広告やウェブサイトなどのデザインの仕事を希望しているのですが、金融やマーケティング関連の職場で働くことによって身に付けられる「業界の習慣や言葉・雰囲気」も必要だと今は考えています。日本でも会社勤めの体験を通して「社会人としてのマナー」を身に付けるといいますが、カナダでもそこは同じ。業界(特に金融)によっては、当然身に付けているべき「ビジネス・スタンダード」ともいえる服装や振る舞いの傾向もあるため、現場での経験は日本以上に求められるかもしれません。

   
  自分の時間と仕事の夢。どちらも大切にしてこそ「私らしい人生」です
 
 

グラフィック・デザイナーとして働くことを目標にしながら、「派遣」を選んでいる理由はそれだけではありません。長期契約によって雇用と経済的な安定性を確保しながらも、「自分の時間」を大切にしたくて。今、ウェブサイトのデザインも少しずつ手掛けており、時期が来たらこれまでの派遣経験とデザインに関する教育的な背景と実績を組み合わせてアピールできる機会を探し、夢に向かってもっと前進したいと思っています。ほかにも、教会でコミュニティーの子供たちやお年寄りと過ごすボランティアワークは続けていきたいですし、やっぱり家族との時間も失いたくありません。それらがなかったら、私の人生じゃないですからね。

   
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